じん肺法施行規制に定められた25種類の粉じん作業に従事または従事した労働者に対しては、じん肺健康診断を行わなければなりません。(表1)
(表1)
種類 | 就業状態 | 健診対象者 | 健診の時期 |
就業時 | 常時粉じん作業に従事する者 | - | 就業の際 |
定期 | 常時粉じん作業に従事する者 | 管理1 | 3年以内ごとに1回 |
管理2又は3 | 1年以内ごとに1回 | ||
常時粉じん作業に従事させたことがあり、 現に非粉じん作業に常時従事する者 |
管理1 | なし | |
管理2 | 3年以内ごとに1回 | ||
管理3 | 1年以内ごとに1回 | ||
定期外 | 常時粉じん作業に従事し、じん肺有所見又は その疑いのある者(管理2又は、3,4は除く) |
管理1 | 遅滞なく |
離職時 | 常時粉じん作業に従事し、1年以上継続勤務した者の中で、 離職する際じん肺健康診断を行うよう求めた者 |
対象者 | 1回 |
離職後 | 健康管理手帳 の交付者 |
1年以内ごとに1回 |
じん肺管理区分
管理区分 | じん肺健康診断の結果 |
---|---|
管理1 | じん肺の所見がないと認められるもの |
管理2 | エックス線写真の像が第一型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの |
管理3 | (イ) エックス線写真の像が第二型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの |
(ロ) エックス線写真の像が第三型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る)でじん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの | |
管理4 | (1) エックス線写真の像が第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1を超えるものに限る)と認められるもの |
(2) エックス線写真の像が第一型、第二型、第三型又は第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る)で、じん肺による著しい肺機能の障害があると認められるもの |
石綿を製造し、または取り扱う業務に従事又は従事した労働者に対しては、雇入れの時、当該業務への配置替えの時および定期(6ヶ月以内ごとに1回)に、石綿健康診断を実施しなければなりません。
① 特定石綿等を製造もしくは取り扱う業務に常時従事する労働者
② 製造禁止石綿等を試験研究のために製造もしくは取り扱う業務に従事する労働者
③ 過去においてその事業場で、石綿等を製造または取り扱う業務に従事したことのある在籍労働者
① 業務の経歴の調査
② 石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査
③ 咳、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査
④ 胸部のエックス線直接撮影による検査
法令で定められた有機溶剤業務に従事する労働者に対しては、雇入れ時、当該業務への配置替え時およびその後6ヶ月以内ごとに1回、定期に、有機溶剤健康診断を実施しなければなりません。
① 業務歴の調査
② 有機溶剤による健康障害の既往歴の調査
③ 有機溶剤による自覚症状および他覚症状(別表1)の既往歴の調査
④ 有機溶剤による自覚症状および他覚症状(別表1)と通常認められる症状の有無の検査
別表1
1.頭重 2.頭痛 3.めまい 4.悪心 5.嘔吐 6.食欲不振 7.腹痛 8.体重減少 9.心悸亢進 10.不眠 11.不安感 12.焦燥感 13.集中力の低下 14.振戦 15.上気道又は眼の刺激症状 16.皮膚又は粘膜の異常 17.四肢末端部の疼痛 18.知覚異常 19.握力減退 20.膝蓋腱・アキレス腱反射異常 21.視力低下 22.その他 |
⑤ 尿中の蛋白の有無の検査(既往の異常所見の有無の調査を含む)
⑥ 有機溶剤の種類に応じ実施する項目
① 尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査(以下の表参照)
② 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
③ 貧血検査(血色素量、赤血球数)
④ 眼底検査
代謝物の量の検査、肝機能検査、貧血検査、眼底検査を実施しなければならない有機溶剤
有機溶剤の種類 | 検査項目 | |||
代謝物 | 肝機能 | 貧血 | 眼底 | |
キシレン、トルエン、ノルマルヘキサン 1,1,1-トリクロルエタン |
○ | |||
N,N-ジメチルホルムアミド | ○ | ○ | ||
オルトジクロルベンゼン、クレゾール、クロルベンゼン 1,2-ジクロルエチレン |
○ | |||
エチレングリコールモノエチルエーテル、 エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、 エチレングリコ-ルモノブチルエーテル、 エチレングリコールモノメチルエーテル |
○ | |||
二硫化炭素 | ○ |
※上記指定の有機溶剤が5%を超えて含有されている物質を製造または取り扱う場合にも検査が必要
尿中の代謝物の量の検査内容
対象物質名 | 検査内容 |
---|---|
キシレン | 尿中メチル馬尿酸 |
トルエン | 尿中馬尿酸 |
1,1,1-トリクロルエタン | 尿中トリクロル酢酸または総三塩化物 |
ノルマルヘキサン | 尿中2,5-ヘキサンジオン |
N,N-ジメチルホルムアミド | 尿中N-メチルホルムアミド |
① 作業条件の調査
② 貧血検査(既往の異常所見の有無の調査を含む)
③ 肝機能検査(既往の異常所見の有無の調査を含む)
④ 腎機能検査(尿中の蛋白の有無の検査を除く) (既往の異常所見の有無の調査を含む)
⑤ 神経内科学的検査(既往の異常所見の有無の調査を含む)
法令で定められた鉛業務に従事する労働者に対しては、雇入れ時、当該業務への配置替えの際およびその6ヶ月以内ごとに1回、定期に、鉛健康診断を実施しなければなりません。
① 業務の経歴の調査
② a 鉛による自覚症状及び他覚症状(別表3)の既往歴の調査
b 血液中の鉛の量及び尿中のデルタアミノレブリン酸の量の既往の検査結果の調査
③ 鉛による自覚症状及び他覚症状(別表3)と通常認められる症状の有無の検査
別表3
1.食欲不振、便秘、腹部不快感、腹部の疼痛等の消化器症状 2.四肢の伸筋麻痺又は知覚異常等の末梢神経症状 3.関節痛 4.筋肉痛 5.蒼白 6.易疲労感 7.倦怠感 8.睡眠障害 9.焦燥感 10.その他 |
④ 血液中の鉛の量の検査
⑤ 尿中デルタアミノレブリン酸の量の検査
※ ④⑤の検査については、6ヶ月以内ごとに1回の検査で、前回当該検査を受けた者については、医師の判断で省略することができます。
省略する場合には、別途省略要件(平成元年8月22日付け基発第463号)により判断することになります
① 作業条件の調査
② 貧血検査
③ 赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査
④ 神経内科学的検査
健診項目 | 内容 | じん肺 | 石綿 | 鉛 |
---|---|---|---|---|
問診 | ○ | ○ | ○ | |
業務歴 | 業務歴の調査 | ○ | ○ | ○ |
既往歴 | 既往歴の調査 | ○ | ○ | ○ |
自覚症状 | 自覚症状の有無 | - | ○ | ○ |
他覚症状 | 他覚症状の有無 | - | ○ | ○ |
胸部X線 | 胸部X線直接撮影 | ○ | ○ | - |
血液検査 | 血中鉛 | - | - | ○ |
尿検査 | デルタアミノレブリン酸 | - | - | ○ |
料金 | ¥3,810 | ¥3,810 | ¥4,000 |
健診名 | 健診項目(すべての有機溶剤で実施) | 料金 | |
/ | 〇業務歴の調査 | / | |
〇健康被害の調査 | |||
〇自覚症状及び他覚症状 | |||
〇尿蛋白 | |||
有機溶剤の種類により実施する項目 | |||
有機溶剤の種類 | 項目 | ||
特殊1 | キシレン | ○尿中メチル馬尿酸 | \3,000 |
特殊2 | トルエン | ○尿中馬尿酸 | \3,000 |
特殊3 | 1,1,1-トリクロルエタン | ○尿中トリクロル酢酸または総三塩化物 | \3,900 |
特殊4 | ノルマルヘキサン | ○尿中2,5-ヘキサンジオン | \4,000 |
特殊5 | N,N-ジメチルホルムアミド | ○尿中N-メチルホルムアミド ○肝機能(GOT,GPT,γ-GTP) |
\4,500 |
特殊6 | クロルベンゼン オルトジクロルベンゼン 1,2-ジクロルエチレン クレゾール |
○肝機能(GOT,GPT,γ-GTP) | \3,580 |
特殊7 | エチレングリコールモノエチルエーテル エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート エチレングリコールモノブチルエーテル エチレングリコールモノメチルエーテル |
○貧血(血色素量,赤血球数) | \3,180 |
特殊8 | 二硫化炭素 | ○眼底(両眼) | \2,310 |
健診日:通常診療時間内。事前に予約が必要となります。